景気回復と言われて久しいですが、御社はいかがでしょうか?
まだ夜明け前という企業も多いと思います。
また、景気回復に伴い大企業の求人が回復し、中小企業では人手不足が深刻です。
けれども「厳しい。厳しい。」と言ってみても事態が好転するわけではありません。
社長はどんな時も前向きに考えることを諦めてはいけません。
1.不況を跳ね返す「始めの一歩」
会社の業績が良くない時、会社の中でまっさきに危機感を感じるのは社長です。
「厳しい時代が来ているぞ!さあみんな気合を入れてがんばれ!」
と社員に奮起を促しても、社員の方は今ひとつ反応がよくありません。社長は首を傾げます。「なぜこんなに大変な状況になっているのに何とかしようと思わないのだろう」と。
けれども、危機感を煽って社員がやる気になったという話は聞いたことがありません。仮にやる気になったとしても一時ではないでしょうか。不況を跳ね返すためには、社長を始め社員が一丸となって会社の業績向上のために力を合わせていくことが大切ですが、危機感を煽っても一体感は生まれてきません。
社員は危機感ではなく社長の会社や仕事に賭ける想い、会社の理念や目標に共感した時に自発的に動くものなのです。
厳しい経営環境が続く中で、社長自身が仕事に賭ける想いを見失っていないでしょうか。何のためにこの会社を作ったのか、これからどうして行きたいのか、今一度会社・仕事への想いや会社の将来について思いを馳せてみて下さい。
そしてこれらの思いを社員にも伝えてみて下さい。どのような時代にあっても、社長は旗印を社員に示すことが、不況を跳ね返す活き活きとした会社をつくる「始めの一歩」です。
2.不況の時こそ社長は明るく、元気に振舞おう!
やる気を生み出す動機づけには、大きく分けて
- 「外発的動機づけ」
- 「内発的動機づけ」
の二つがあります。
外部から報酬や罰を与えて、やる気を向上させようとする手法は「外発的動機づけ」と呼ばれています。目標を達成すれば昇進・昇格させる人事制度や、成果主義に基づく賃金制度は、この外発的動機づけの代表例です。
一方、「内発的動機づけ」は、仕事そのものに対する興味・関心、お客様からの感謝、達成感など、仕事をすることで得られる満足感が次の行動への意欲になるものです。内面から湧き出る意欲という事です。
外発的動機づけと内発的動機づけはどちらの方がより優れているかと比較するものではありません。社員に活き活き働いてもらうためには、外発的動機づけと内発的動機づけはどちらも必要です。どちらかに偏りすぎるとうまくいきません。
ただ、不況のときは給料を上げる原資(利益)も不足していますし、昇進・昇格するポストもありませんから、内発的動機づけに重点を置くべきでしょう。お金やポスト以外で社員のやる気を引き出していくためには、社内の雰囲気作りが大切です。
まず社長が明るく元気でなければなりません。不景気な気持ちは伝染します。楽しいやうれしいの気持ちも伝染します。
「今日も楽しくやるぞ!」と強い気持ちで心の不況を吹き飛ばしましょう。社長が仕事を楽しみさらに理念や目標を社員と共有することができれば、会社の中で一体感が生まれ、必ず成果(業績の向上)は現れてきます。
成果が確認できると達成感や誇り、さらなる一体感が生まれ「活性化のサイクル」へと繋がっていきます。
3.不況のときこそチーム力
会社は様々な特性、個性を持った人々が、共通の目的・目標に向け力を合わせていく「チーム」と言えると思います。
昨今は行き過ぎた成果主義などによって個人主義の意識が強くなり、どの会社も「チーム力」が弱まってきています。けれども、不況のときはみんなで力を合わせて乗り越えていくことができる組織が望まれます。
「チーム力」の強い会社が生き残れるのです。高度経済成長期の日本は年功序列、終身雇用制のもと抜群のチーム力で日本の経済を立て直してきましたが、これからの時代はチーム力と言っても、個人の個性が殺されたり、自発性が軽んじられるチーム(会社)では活力を生み出すことは難しいでしょう。
個人の自己実現と、チーム(会社)の目標達成を同時に実現してゆけるような仕組みの構築が求められています。チーム力向上のためにどのような方法がよいかは、社長の考え方、扱う製品や商品、会社の歩んできた歴史などの条件によって異なります。
これという正解はないので、各企業で工夫して欲しいのですが、簡単でどの企業でもできることをいくつかご紹介します。
1.あいさつをしよう!
社員同士、あるいはお客様に明るく元気にあいさつできていますか。あいさつはチームワークの基本です。また、元気なあいさつが聞こえるお店や会社には活力が感じられます。
2.掃除と整理整頓!
お客様が始めに目にするのは会社の玄関です。どなたが来られても気持ちのよい玄関になっていますか。トイレの掃除は行き届いていますか。
資材置き場などバッググラウンドの整理整頓はできていますか。掃除と整理整頓は会社に福を呼び込みます。自分たちで掃除をすることで自分たちの職場という意識も生まれてきますね。
3.他の人の仕事を知る機会を設ける
同じフロアで働いていても、隣の部署の仕事を知らない、担当でないお客様のことは知らないという社員が多いように思います。
お互いの仕事を知ることで互いに協力する気持ちや自分の仕事の位置づけがわかってきます。以上、ご紹介したことは、簡単なことばかりですが、最近はどの会社でもなかなか出来ていないように思います。
人員がギリギリまで削減されていく中、時間的なゆとりと心のゆとりが失われているのでしょう。不況の時代にチーム力を強化し、ひいては会社の業績を向上させるには、あえて「基本に立ち返る」気持ちが必要なのではないでしょうか。